『ビューティフルドリーマー』当日パンフ

ご挨拶
 どうも本日は当、池袋シアターグリーンまで寒中、足をお運びいただいて誠にありがとうございます。
 久々の新作、群集劇『ビューティフルドリーマー』です。
 我々はいつも、この池袋から駅三つ離れた江古田という街で、短編の連作二人芝居を延々と上演し続けています。
 2002年から始めたこの短編のシリーズは300本で完結を目標にしてコツコツと作り続け、昨秋ようやく100本を突破しました。
 その突破記念になにか、これまでと全然違うことをやろうか、と盛り上がっていたところへ、池袋のシアターグリーンさんから、新築新装オープンするから何かやらないか、とお話をいただいたのです。
 本当は、この劇場の一番小さいホールで「なにかやらないか」ということだったのですが、一番大きなメインホールを見せてもらった時に「なんだ、この客席の急傾斜は!」と、未だかつて見たことのない舞台と客席の距離感を持つこのホールに魅せられてしまいました。
 舞台を俯瞰して見ることになる冷たい空間です。
 ですから、俯瞰して見た方がおもしろい世界を持った物語を上演しなければ、意味がありません。
 劇場の構造がそこで上演する物語をおのずと選んでゆくのです。
 というわけで、演目は、いつか機会があればやろうと思っていた『ビューティフルドリーマー』に即決。
 その物語は「文化祭前夜」「お化け屋敷」「放送室」「メイド服の女の子達」「カウントダウン」「夢物語」といった私の好きなアイテムで構成されているものであって欲しいと・・
 始まりは、以上のようなことからでした。
 こうやってまとめて書くと、なにもかもがすんなりいった様に思われるかもしれませんが、もちろん何事も紆余曲折ってのがあるもので、始めてみるとさらなる紆余曲折が待ち構えているのです。
 「いつまで続くんだろうか、ずっとこれをやっている気がする」そんな気持ちで「いつまで続くんだろう、ずっとこれをやっている気がする」物語を作る。
 眩暈のするような、素敵なモチーフの芝居でした。
 最後になりましたが、原作使用の許可をくださった押井守氏に感謝。
 どうぞ、ごゆっくり。
                          じんのひろあき


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