第21話  『三つ子の魂』



  明転すると、真由実の部屋。
  真由実の前の未知、顔を押さえてかがみ込む。
未知「もお・・帰れない」
真由実「えっと、なんだっけ。一緒に暮らしてるんだよねえ」
未知「うん」
真由実「え、なんだっけ、今の人の名前」
未知「どっち?」
真由実「どっち? ヤッ君と離婚して、一緒に誰かと暮らしてるんでしょ」
未知「準君?」
真由実「ああ、準君、準君」
未知「暮らしてる」
真由実「で、ケンカしたわけじゃなくってぇ・・」
未知「ああ・・・っ・・準君とさあ・・別れて・・」
真由実「え、別れたの?」
未知「うん」
真由実「いつ?」
未知「一週間くらい前かな」
真由実「ああ、そうなんだ」
未知「別れて・・でさあ、今日さあ・・会社の鈴木さんってさあ、いるんだけど。ちょっと家に来てさあ・・ちょっと・・」
真由実「鈴木さんって男?」
未知「うん」
真由実「そうだと思ったけど」
未知「そしたらさあ、準君が帰ってきて」
真由実「え?・・あの、えっと、鈴木さんは会社の人で・・会社の人が家に来て・・準君が帰ってきた」
未知「そう」
真由実「帰って来た? 準君とは別れたんでしょ」
未知「うん・・でも、一緒に住んでる」
真由実「どっちと?」
未知「準君・・いやだってさあ、あの人実家なの・・それで家に」
真由実「転がり込んできたんでしょ」
未知「そうそう・・それで別れたでしょ。そしたら、今さら実家には帰れない・・ってのがあって・・まだ新しい家も見つからないっていうから・・」
真由実「ああ、そう」
未知「それでね、準君が私の家に帰ってきたの・・それでさ・・もう私帰れないよ」
真由実「その鈴木さんっていうのはつきあってるの?」
未知「最近ね」
真由実「あ、ああ・・」
未知「ダブってないよ」
真由実「ああ・・この一週間の間で、準君と別れて、鈴木さんとつきあい始めた」
未知「そうそう」
真由実「それで・・あ、わかった、今の彼と昔の彼が未知ちゃんちで鉢合わせになっちゃったわけだ」
未知「そうそう」
真由実「それさあ、今の彼氏はさあ、準君と一緒に暮らしているのは知ってるの?」
未知「知ってる」
真由実「知ってるの? 別れた彼氏とまだ一緒に暮らしているっていうのを、その人は知ってるの?」
未知「知ってる」
真由実「オッケーなの?」
未知「しょうがないよねって」
真由実「変わってる」
未知「寛容だよね」
真由実「寛容っていうのかな・・え、でもさあ、なんで帰れないの?」
未知「え、だってさあ、家に来てさあ」
真由実「え、誰が? どっちが?」
未知「鈴木さんが・・家に来て・・ああだこうだ・・ああんってなるじゃない」
真由実「なったんだ」
未知「なったなった」
真由実「やっちゃってぇ」
未知「そしたらね、その間ね、準君が外で待ってたらしいんだよね」
真由実「気づいて?」
未知「それでね・・鈴木さんと私が落ち着いてね、身なりとか整えた頃を見計らって・・こう、なんかやけにドアをガチャガチャガチャガチャってすんごい音たててさ・・私もね、そろそろ帰ってくる頃かなとは思ってたんだけどね・・で、なんか、あ、どうもとか言って」
真由実「入ってきたの?」
未知「なんかコーヒー入れてくれて。三人でコーヒー飲んで・・もうさあ・・なんかさあ・・鈴木さんもさあ、じゃあ、もうボクはそろそろ帰ろうかなとか言って・・じゃあ、私、送ってくわって、一緒に外に出て・・ここに来たの」
真由実「帰ってないんだ」
未知「ないない」
  そして、未知、深い溜息をついた。
真由実「相変わらずだね」
未知「そお?」
真由実「鈴木さんは怒ってた?」」
未知「いや、すまないなって顔してた」
真由実「なにがすまないの? だってつきあってるんでしょ」
未知「うん」
真由実「未知ちゃんちでエッチしてたんでしょ」
未知「うん」
真由実「いいじゃん、別に」
未知「まあねえ・・」
真由実「鈴木さんとこに帰ればいいじゃん」
未知「ダメダメダメ・・」
真由実「なんで?」
未知「奥さんいるし」
真由実「鈴木さん? あ、結婚してんの?」
未知「そうそう。でもね、別れるって」
真由実「離婚するの?」
未知「そうそう」
真由実「未知ちゃんと結婚するために?」
未知「そうそう」
真由実「いー・・うっそぉ」
未知「ホントだよ」
真由実「いやいや・・それはないな。なんだよ、それ」
未知「ホントだって」
真由実「・・・・・」
未知「ホントだって」
真由実「・・・」
未知「イヤだなあ、もう」
真由実「おかしいよ」
未知「なんでよ」
真由実「でもさあ、準君がさ、未知ちゃんちにいることのほうがおかしいわけじゃない」
未知「なんで?」
真由実「別れたんだから」
未知「家ないんだよ」
真由実「そんなの関係ないじゃん」
未知「家、ないんだよ」
真由実「だって別れたんだよ」
未知「どこに住むの?」
真由実「そんなの知らないよ」
未知「え?」
真由実「え?って・・その準君っていくつなのよ」
未知「三十・・三」
真由実「仕事してるんでしょ」
未知「サラリーマン」
真由実「じゃあ、全然いいじゃん、そんな子供じゃないんだからさ」
未知「お金ないしさあ」
真由実「そんなの知らないよ」
未知「だから今、お金貯めて家探して出ていこうとしているわけじゃない」
真由実「ホントに? 出て行けって言わないんでしょ、未知ちゃんが」
未知「言えない・・」
真由実「なんで言えないの? そういうことから逃げているから、鉢合わせとかしちゃうんでしょ」
未知「そうかなあ」
真由実「好きなの、準君は?」
未知「うん」
真由実「鈴木さんとつきあってるんでしょ」
未知「うん」
真由実「でも、準君のことも好きなの?」
未知「うん・・好きだけど、愛してない・・準君はね」
真由実「ああ・・」
未知「あれ、旦那さんは?」
真由実「今日仕事。夜勤」
未知「泊まっていい?」
真由実「なんで?」
未知「帰れないじゃない」
真由実「なんで帰れないの? 未知ちゃんちでしょう?」
未知「なんで? 帰れないでしょう?」
真由実「未知ちゃんちでしょう?」
未知「ねえ、お願い・・泊めて泊めて泊めて・・」
真由実「いいけどさあ・・」
未知「ああ、よかったあ・・」
真由実「居候しているのはさ、準君の方なんでしょ」
未知「帰れないよ」
真由実「なんでよ」
未知「帰れないでしょう。帰れる?」
真由実「帰るよ」
未知「なんで?」
真由実「なんでよ。っていうか、そんな別れた男とは住まないもん、一緒になんか」
未知「まあ、それがベストだけど・・」
真由実「ベストとかそういうことじゃなくて、それが普通・・それが最低ライン」
  だが、未知はもう言うことを聞いていないで、携帯を取り出し。
未知「あ、待って、待って・・準君にメールしとかなきゃ」
真由実「え、なんて?」
未知「今日、泊まりますって・・心配しちゃうから」
真由実「え、なんで」
未知「心配してるかもしれないでしょ。今日、帰らないんだから」
真由実「帰ればいいじゃない」
未知「帰れないでしょ」
真由実「・・・・」
未知「メールしといた方がいいよ・・絶対心配しちゃうから」
  と、メールを打ち始める。
未知「きょお・・とまります。と」
  そして、送信する。
真由実「今日、泊まりますって送ったの今?」
未知「そお」
真由実「それさあ、誰んちにとか書いたの?」
未知「そんなんどこだっていいじゃん」
真由実「そうだよねえ、関係ないもんねえ」
未知「関係ないもん。別れたんだから」
真由実「でもさあ、そんな状況になってそんなメールがきたら、絶対さっきの男の人んとこに泊まりに行ったって思ってない?」
未知「ああ、かもね」
真由実「それはいいの?」
未知「いいんじゃないの?」
真由実「なんで? 関係ないから?」
未知「関係ないもん。だって別れたんだよ」
真由実「でもさあ、準君はさあ・・未知ちゃんのこと好きかもしれないじゃない。え、どっちから別れるって言い出したの?」
未知「どっちってわけでもないけどね・・まあ、私かなあ」
真由実「そしたらさあ、まだ準君好きかもよ」
未知「ああ、かもねえ・・」
真由実「で、そんなさあ、男連れ込んでるところ見つかってさあ、今日は帰りませんってメール来たらさあ、どう思う?」
未知「まあ、鈴木さんと一緒にいると思うねえ」
真由実「思うでしょ。嫉妬するでしょ。燃えあがるでしょ。たぶんさあ、一人でさあ、悶々としてるわけじゃない。未知ちゃん帰ってこないなあ、今、あの男と一緒にいるんだなって思うわけじゃない」
未知「帰ってこなかったら心配するでしょ。なんかあったのかなって。でも泊まりますっていったら、ああ、どっか別のところに泊まってるんだなって思うわけじゃない。安心するわけじゃない」
真由実「安心しないでしょ」
未知「するよ」
真由実「それでまた揉めるよ、準君と」
未知「なんで?」
真由実「やっぱ別れないとか言い出すよ」
未知「やめてよ」
真由実「どうする? かわいそ、鈴木さん」
未知「鈴木さんにもメールしておかないとね」
真由実「え?」
  未知、メールしはじめる。
未知「さっきのことは、忘れてね。ごめんね」
  そして、送信する。
未知「オッケ」
真由実「いやいや、それさあ、あのさあ、鈴木さんと別れるの?」
未知「なんで?」
真由実「だってさっきのことは忘れてね、でしょ」
未知「うん・・嫌な思いさせちゃったからね」
真由実「さっきってどれ?」
未知「さっき、だからあんなことになっちゃったことだよ」
真由実「あんなことってどんなこと?」
未知「三人でねえ・・コーヒーまったりと飲んじゃったこと」
真由実「それさあ、絶対さあ、昔の男と暮らしている女とエッチしているところに、その男が帰ってきちゃったわけじゃない。鉢合わせしちゃった人にさあ、『さっきのことは忘れてください』ってメールしたら、もう別れましょうと言っていると思うよ。私とつきあっていたことは忘れてくださいって」
未知「ええっ!」
真由実「っていうふうに解釈するよ」
未知「しないよ」
真由実「するよ」
未知「んなわけないじゃん」
真由実「なんでよ」
未知「だってさっきだよ、さっきのことだよ」
真由実「だから、どのさっきよ」
未知「ええっ・・(と携帯が震えた。手にとって見る)あ、鈴木さんだ(と届いたメールを読み上げる)さよならってこと?」
真由実「ほら! ほらあ!」
未知「ええ・・なんで?」
真由実「言った通りでしょ・・そう思うんだって普通は」
未知「なんで?」
真由実「なんでじゃないの」
未知「なんでそうなるの?」
真由実「だから言ってるでしょ、未知ちゃんが普通じゃないの」
未知「なんで?」
真由実「未知ちゃんの考え方が普通じゃないんだってば」
未知「私普通だよ」
真由実「まだ言うかな・・なんか返事しないと、メール」
未知「ちがうちがう・・今度三人で会いましょう」
真由実「三人でって、誰と誰と誰?」
未知「二人と私」
真由実「なんでまた二人は会わなければならないの?」
未知「三人の関係を修復した方がいいでしょう?」
真由実「未知ちゃんはどっちともうまくやっていきたいわけ?」
未知「ううん、そんなこともないけど。でも、ほら、三人仲いい方がいいでしょ」
真由実「かわいそ・・」
未知「あ! 焼き肉パーティーとかしようか、家で・・そういうのどうかな」
真由実「知らないよ」
未知「あ、来る?」
真由実「なんで私が?」
未知「だって一、二じゃん」
真由実「合コンじゃないんだからさ。数合わせてもしょうがないじゃない。私行ってなにやんのよ」
未知「野菜切ったり」
真由実「自分でやんなさいよ、そんなの」
未知「ダメかなあ・・」
  と、またメールが着信する。
未知「あ、帰ってきた」
真由実「鈴木さん?」
未知「うちの奥さんと?」
真由実「家の奥さんと未知ちゃんと三人で会うと思ったんじゃないの?」
未知「やだよお! なんでそんなことしなきゃなんないの?」
真由実「だって離婚するんでしょ、そこでさあ、離婚の話をするのかと思ったんじゃないの?」
未知「だって離婚する前に私がいるって分かったらやばいじゃん。ばれたら慰謝料とか取られるんじゃないの?」
真由実「当たり前じゃん・・なんで、なんで泣きそうなの?」
未知「ええっ?」
真由実「かわいそうとか思ったんでしょ、鈴木さんが」
未知「うん」
真由実「なんで慰謝料取られるとかわいそうなの? そこまでしても、未知ちゃんと一緒になりたいってことなんでしょ?ちがうの?」
未知「うっそ!」
真由実「え、結婚するんでしょ、だって。そのために離婚するんでしょ、慰謝料払わなきゃ」
未知「ほんとに? あっちゃ」
  と、電話が鳴る。
未知「ああ、かかってきた」
  と、電話を手にし。
真由実「鈴木さん?」
未知「そう!」
真由実「どうすんの?」
未知「切っちゃう!」
  と、切っちゃう。
真由実「なんで?」
未知「ああ・・よかった」
真由実「出なきゃだめだよ」
未知「なに話すのよ!」
真由実「話さなきゃダメだよ」
未知「イヤだよ!」
真由実「それさあ、離婚が成立する前にさあ、新しい彼氏が見つかるよ」
未知「なに言ってんの?」
真由実「だって今までもそうだったじゃない」
未知「やめてよ・・縁起でもない」
真由実「無理だよ、結婚、向いてないんじゃないの?」
未知「ええっ!」
真由実「向いてないじゃん、ヤッ君ともすぐに別れちゃったし・・」
未知「あれは若気の至りだから」
真由実「別れて正解だったけど」
未知「真由実はいいよね」
真由実「私は結婚、向いてたからさ・・結婚して分からなかった?自分が向いてないって」
未知「若かったから」
真由実「一年前だよ」
未知「若かったの」
真由実「つい最近じゃん」
未知「こないだっていうかね」
真由実「昔からそうだったじゃん」
未知「そうだっけ?」
真由実「小学生の時にさあ、あったじゃん、決闘!」
未知「あれね」
真由実「未知ちゃん争奪戦でさ、男の子が河原で」
未知・真由実「決闘」
真由実「真冬」
未知「やってたやってた、びっくりしたよもう」
真由実「あん時からだよね、もう」
未知「あれ、誰が教えてくれたんだっけ」
真由実「あれだよ、同じクラスのさあ、学級委員やってた」
未知・真由実「ブータン!」
未知「(ブータンの物真似して)たいへんだーっ」
真由実「汗かいてね」
未知「みんなで行ったよね」
真由実「したら鼻血出してるし」
未知「決闘でさ、石投げ合ってたんだもん」
真由実「あのちっちゃい子・・」
未知「なんだっけ?」
真由実「タケちゃん」
未知「そう、タケちゃん・・武田君。タケちゃん頭よかったよね、背はちっちゃかったけど」
真由実「そんなところが好きだったの?」
未知「うん、頭いい人っていいよね」
真由実「あと、でっかい方」
未知「なんだっけ?」
真由実「徹(とおる)君」
未知「そうそう・・」
真由実「徹君はどこが好きだったの?」
未知「背が大きいから」
真由実「そうなんだ」
未知「おっきかったじゃない」
真由実「おっきかったよ、おっきかったけど・・・それでか・・」
未知「そうそう・・あったあった・・言われるまでコロッと忘れてたよ」
真由実「あともう一人?」
未知「え? 誰?」
真由実「三人いたでしょ。三人で河原で決闘してたでしょ」
未知「え、そうだったっけ?」
真由実「そうだよ・・誰だっけ・・」
未知「あ、そうだ・・あの子・・そうそう・・・向こうから好きだって言ってくれたの」
真由実「そうだったの?」
未知「そうそう・・あれ名前出てこない・・」
真由実「じゃあ、あとはみんな未知ちゃんが好きだって」
未知「言ったような言わないような」
真由実「どっちなの?」
未知「いや、そういうのを口に出さないまでも雰囲気ってあるじゃない」
真由実「小学校三年生で?」
未知「そんなの年は関係ないもん」
真由実「そうかな」
未知「誰だっけ・・すごくうれしかったんだ。全然、その時は好きじゃなかったんだけど」
真由実「好きって言われたから?」
未知「うれしくて・・好きになっちゃった」
真由実「それで三人同時に好きになっちゃったんだ」
未知「どういうわけかね・・たまたま、好きな人が三人もね・・できちゃって・・あの子なんて言ったっけ? っていうか顔も浮かばない」
真由実「かわいそう」
未知「あれえ・・」
真由実「鼻血出してたのにさあ・・その後、誰も選ばなかったもんねえ」
未知「さめちゃったっていうか・・ガキだなこいつらって思っちゃった」
真由実「ガキだよ、小学校三年生なんだから」
未知「まあねえ」
真由実「かわいそう・・鼻血出しただけじゃん・・ほんと昔っからだね」
未知「あれだけだよ」
真由実「ちょこちょこあったじゃない。私,大変だったんだよ、裏で。未知ちゃんが嫌われないように、女子から」
未知「ありがとう」
真由実「三人とつきあってるのを知ってたのって私だけだったでしょ」
未知「みんな知らなかったの?」
真由実「だから私がうまくやってたの」
未知「男の子に囲まれてたからね・・あらぬ噂もね」
真由実「あらぬ、じゃなくてあったじゃない」
未知「ああ・・ねえ」
真由実「男の子のグループの先頭にいたじゃない。木とか昇って」
未知「昇ったねえ」
真由実「私は昇らないけど」
未知「昇らないんだよね」
真由実「怖いもん」
未知「気持ちいいのに・・風がこう、ぴゅーって来て」
  と、また未知のメールの着信音が、
未知「あ、メール来た」
  と、見る。
未知「準君だ」
  そして、メールを読む。
未知「『キミの帰りを寝ないで待っているよ』」
  未知、真由実を見て。
未知「ダメだ・・」
真由実「なにが?」
未知「私、やっぱり準君のことが好きかもしれない」
真由実「かもしれない?」
  と、未知、立ち上がった。
未知「ごめん、ありがと」
真由実「どうしたの?」
未知「帰る」
真由実「・・・(もう止める気もなく)うん・・まあ、気をつけてね」
未知「じゃあ、ありがと・・」
  と、鞄抱えて帰っていく。
  座ったまま見送った真由実。
真由実「変わんないなあ・・」
  と、いいながら座布団を引き寄せると、その下に未知の携帯が。
真由実「携帯・・忘れてる・・」
  と、手に取る。
真由実「あ! 着信した!・・鈴木・・さん?」
  そして、真由実、玄関に向かって叫ぶ。
真由実「未知ちゃん! 未知ちゃん!」
  未知、すでにいない。
真由実「どうしよう・・」
  と、電話に出る。
真由実「はい、柳沢未知の携帯です・・あ、私は友達の田端といいます・・未知ちゃんは今日、私の家に泊まりたいとかで・・ええ・・今、お風呂に入ってまして・・」
  暗転していく。