これは、じんのひろあきが2002年よりスタートさせた二人芝居の短編連作シリーズです。

1つの作品が10分から15分程度の小品で、1回の上演でこれを6本から7本、上演していくスタイルをとっています。
しかし、従来の短編のオムニバス演劇とはかなりちがいます。

小説、漫画、映画などのジャンルにおいては古今東西すぐれた短編が存在しています。
『短編』というジャンルもきちんと認知されています。
しかし、演劇において『短編』というジャンルは存在しないも同然です。

というのは、もともと演劇というメディアは、2時間の上演時間が基本である、という制約があるからで、15分の短編を1本のみ上演という形がとりづらいのです。
15分のもの、1本見るためにお客さんは下北の劇場や新宿の劇場へと足を運んでくれるものではありません。

そうなると『演劇の短編』を何本か並べてオムニバスという名目で上演することになります。
しかし、そのほとんどが、各々の話が直接、関連しないモノを並べて上演しているので、ほんとうにただ短編が羅列されているだけになってしまいます。

これは実際にそういった芝居を見ていただければわかると思いますが、最初の1、2本は興味が持続するんです。
けれども、関連のない話を何本も立て続けに見せられると、やがて辟易してしまいます。
 新しい話が始まる度に頭の中をリセットし、また一から登場人物を受け入れ、設定を理解しお話に入っていかなければならないからなのです。

 1本また1本と見続けていくことで、情報が蓄積されていく物語が作れないものかと考えたのが、この『メトロポリス・プロジェクト』シリーズなのです。

 登場するキャラクター、生活している空間が共通である短編の連作であれば、見続けていくことによる情報の蓄積が可能なのではないかと思った結果なのです。

 役者は1つのキャラクターを演じ続けます。
 そのキャラクターが他のキャラクターと出会うことで、物語が生まれます。
 もちろん、各々の短編は1本の短編として見ても、成立しています。
 
 1つ1つの短編をつなぎ合わせると、そこに大きな『街』が出現する、これはそんなスタイルの演劇なのです。

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